【愛はやり直せる ハイテンションロック映画「ストリート・オブ・ファイア」感想 】

思春期オールナイト映画クラブ。


今こそ映画らしい映画を見ていこう。

大手のメインストリーム系よりも
後味悪くてもいつまでも記憶に残ってくれる作品を。

何度も自分のライブラリーから取り出して
繰り返し味わってみたくなる映像作家の魂に触れていこう。

大人になったら自分の人格形成に役に立った作品は
しっかり本棚にストックしていこう!


今回の作品はこれ、
ウォルター・ヒル監督の

「ストリート・オブ・ファイア」(Streets of Fire)

 

 

映画感想といってもストーリーなんて大したことはないです。


暴走族と元兵士との女の取り合い!
意味付けなんて難しく考えなくていい。

それにしてもこのポスター、凄いですね! 
描いた人、一体何を考えているんだか。
これではまるでハマーホラーそこのけの
恐怖作品としても受け取られかねません。
だからこそ好きなんですよ!

〜ロック歌手、エレン・エイム(ダイアン・レイン)が
地元での凱旋ライブ中に

ストリートギャング、ボンバーズに拉致される。

彼女の大ファンのリーヴァは弟トム(マイケル・パレ)に助けを求め、
エレンのマネージャー、ビリーがトムを雇うと申し出る。
トムは偶然出会った陸軍あがりの女兵士マッコイを相棒に
ボンバーズのアジトを急襲し、エレンを救い出す。〜〜

Wikiにある、人が一人も死なないという
「珍しいアクション映画」というのは
まあ、褒め言葉なんだろう。

当初、トム・コーディを主人公にした3部作の企画が存在していたらしい。
しかし第1作『ストリート・オブ・ファイヤー』の全米での成績が芳しくなく、
残り2作の製作はボツ。本作の続編と聞くとあれこれ想像してしまいます、
なんだか今からでも期待をしたくなりますよね。

ロックとか青春というワードで括られてしまっている印象が強いのですが、
この作品、役者の顔ヂカラがとてつもなく強さから画面から目が離せないような
映像引力があります。

顔がキライ、顔がキライ、あなたの顔がキライ、、と歌っていたのは
コンセント・ピックスだったが、この映画の顔ヂカラ!
キライな訳が無い!

顔ヂカラ。

まず、どう見たってこの世界観、
ショウビズのバックステージにいる男としては
ミスマッチ感の強いビリー・フィッシュ役のリック・モラニス。

人を見かけで判断してはなりません。
ここでは腕力はないけど、
嫌味でネチネチ系それでいて強引さ丸出しの
えげつなさ全開で登場しています。

外見的には気は優しくてチカラなし、
のび太風情で印象が強いのですけど、
ビリーはなんだか金も持っているし、
ゴーインにマイウェイ路線を突っ走っています。

顔ヂカラも強くてたまりません。
エレン・エイムも売れてきてやっとスター路線に乗りかかってきたと
いうところかもしれませんがそこは時代背景なのでしょうか、
とにかくリッチなビリーなのよ。

劇中、そのお金の使い方で物語もあらぬ方向に行ってしまいます。
地獄の沙汰もカネ次第、そんな道理で世の中動くわけもなく
ラストはまあまあ人の良さが見えてきて、
嫌味感丸出しだった顔ヂカラも貫禄と言い換えてもいいかな、
とそんな気になります。

それからマッコイのエイミー・マディガン。
この役も顔がすごい!渋い!
バーテンダーにも食ってかかるくらいの度胸もある兵士さん。
酒場で出会ったコーディに付いて行き、
そのままの流れでエレン救出のために奔走します。

 

 

すっぴん、肌荒れ、ダメージヘアもなんのその。
帰還兵的な風貌、振る舞いで存在感もバッチリです。

バンを運転しながら見せる笑顔も素敵なのですが、
バーへの襲撃シーンでのなんとなく迷いながらの虚さも
かもしながらも相手に怯まず銃口向けるところはベスト・バウト。
男だの女であるとかのレベルを超えた存在感がたまりません。

 

 

きっとここにフォーカスを当てる人も少ないのでしょうが、
エレンが閉じ込められている場所の情報をくれる浮浪者が登場します。

気持ち悪さ満点ですがデヴィッド・リンチあたりなら
もっともっと一般にはもっと理解不能な
セッティングをしてしまうでしょうね。

突如、コーディ達の前に現れてひと騒動起こす?と思わせて、
危険な匂いをかもしながらもちょっと臨時収入を手に入れるとすんなり帰ってしまう。

つまりはここでビリーの活躍があったのですけどね。
髪もバサバサ、顔を真っ黒、夜中にこんな人に遭遇したくはないですね。
喋ることが支離滅裂だったり奇声をあげるような役作りとなっていない
ところに良くも悪くも映画のお行儀良さが表れてしまいましたね。
でも、このシーンはとても大切でこれからの人間関係の立ち位置を
しっかりさせるために大きく役立ってますよね。

いよいよエレン奪還に入ります!

バーのステージではポールダンスが行われています。
そのダンサー、やたらとアクが強いんです。

短髪でなんとも中性的、
どこかしらウィレム・デフォーにも外見が似ている!? 
初見だと「え、男!?」と思ってしまうのですが、
それくらい表情の変化が激しい。

衣類が少しづつ紐解けて、
足が見えたら「あれ、女性!?」
ビキニパンツ姿での変なゲイの男の人かと
それでもまだまだ違和感を感じつつ、
ダンスのラストの方ではっきりと女性であることがわかる。

つまらないことに拘ってしまうというより、
気になってしょうがない、
あの人誰?と目が離せない印象。

恐怖映画さながらのシャウトマウスも魅力があって、
脇役ながらも引力強いです。

調べたら本物のダンサー、マリン・ジャハンなるアクターで
「フラッシュダンス」でジェニファー・ビールスの
ボディ・ダブルを努めたプロダンサーのなのだとか。

マイケル・パレやダイアン・レインについては
まあ、いいでしょう。

いろんな人が役者愛満点に語っています。

言っちゃ悪いがダイアン・レインにはそんなに感情移入できなかったし。

 

映画というと、そもそも悪役を描いてこそなものだと思っています。


■映画の歴史、イコール悪役の歴史
語るべきはウィレム・デフォー。

本作で語るべきはやっぱりウィレム・デフォー。

 

バイクを乗り回している「不良」グループに手を焼くこの町。
ここでの不良の親分はデフォー演じるレイブンさん。


愛した女性を助けるために、街に戻ってくる男。
そこに何の印象も残らないのでは
FABLE=寓話、伝説、作り話にはならない。

普遍の物語でありながら時代を超える輝きを持たせるには、
やっぱり役者の存在感、すなわち悪役、それから悪人
顔!

ウィレム・デフォー、
爬虫類フェイスそのままでも存在感あります。

1984年当時、まだまだ華奢で少年的な佇まいでもありますが、
劇中の描き方がちょっと浅いところもあって、
いきなり何をやり始めるのかという狂気があまり描かれていません。

後から振り返ると若気の至りとレイブン本人も笑っているのでは、
とそんな想像もさせてしまう暴走族ボンバーズの親玉さん。


エレンのライブをぶち壊して、
女を監禁してとやることはヤンチャですが、
バイクを爆破されて街を燃やされてもコーディとの対決はサシで勝負。

卑怯な手は使わないぜとの余裕ぶり。

飲み屋で違法行為が行われているような素振りもないし、
ボンバーズの仲間内でも手のつけられない
危険人物という位置付けで描かれていたら、
映画のジャンルも変わってしまったのでしょうかね。

そういう風にも個人的には期待を込めたかったのですけど
そこはハリウッド、メインストリームもの。

無難に落ち着くところに収めるのが監督の手腕なのでしょう。

喧嘩やバトルを徹底的に描いたら、
最後はやっぱり死人を出さないと物語として
終わらなくなってしまうことに対してへの配慮かもしれませんよね。


ラストのコーディへの敵意剥き出しのシャウト顔、
本作で1番の見所です。

ダイアン・レインのビジュアルやら
マイケル・パレその人に目が奪われがちですが、違います。

そもそもエレンには全く感情移入できないっすよ。

熱心なファンに付き纏われても素っ気ないままで人としてどうよ、って。

もうね、『ストリート・オブ・ファイヤー』、
デフォーにこの顔をさせるための映画と
言っても過言ではないでしょう!

 

 

ウォりゃ〜〜〜〜〜〜つ!!!!!!!!!

 

ということでパッと見の印象以上の存在感と
期待以上の何やってんの感がある俳優で固められたロックショームービーがこれ。

楽しめないはずはない。

サントラ、音楽的なことはいろんな情報ソースをあたってみてください。

個人的にファイバリットなのはまずダン・ハートマン。

ここで採用された「I Can Dream About You」。

〜No more timing each tear
that falls from my eyes
I’m not hiding the remedy
to cure this old heart of mine 〜

もう、泣いてる場合
なんかじゃない
今までのこの俺の想いを
つつみ隠さず癒すのさ

ホール&オーツあたりが好きな方なら
きっとこの曲も好きだと言われるでしょうと
思っていたら実際にホール&オーツも取り上げていましたね。

それからマリア・マッキー。

この人の過去作タイトルは廃盤も多いのですけど、
ソロ1〜3作あたりは全て名盤です。

世相に合わせたギター色全開の3rd、「Life Is Sweet」、
マリアの天才ぶりが発揮された高純度なアルバムでしたけど
評価、売り上げともいまひとつでしたね。

ローンジャスティス以降、このあたりの時代のリマスター盤、
出して欲しいと思います。

サントラ盤もしっかり楽しめる本作、とてもお勧めですよ。

 

 

 

 

 

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ご感想や気づき、発見がありましたらこちらまでメッセージをください。
個別には対応できないことが多いですが必ず目を通しており、
今後の発信に活かしてまいります。

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