【認知症ケア 何度も「トイレに行く!」頻尿対応一例】


トイレを済ませたばかりでも
「トイレに行く!」
「トイレに行かせて!」
便座から立ち上がって衣類を直した瞬間にまた、
「おしっこ漏れそう!」とそんなふうに言われて
はあ、もうどうしたらいいのよ、とそんな風な現場に居合わせた経験はありませんか?

認知症ケア 何度もトイレに行きたがる認知症の方への頻尿対応一例

 

 

認知症対応の仕方に正しいも間違いも、何もありません。
精神論ではありませんが、もう、ひたむきに向き合うしか無いのが
正直なところかもしれません。

トイレに頻繁に行きたがる原因としては、
まず認知症による記憶障害、
一概にすぐに忘れてしまうと言われてしまいがちですが、
どちらかというと忘れるのではなく「覚えられない」ことです。

今まさにやったこと、体験したこと、
今この時のことを覚えられないから周囲からの
「今トイレを済ませたばかり」
という認識とはかけ離れる。

ちょっとした繰り返しならまだまだ認知症対応も
「まだまだ軽度の認知症だよー」
と許容範囲内、対応可能となるのでしょうけど、
介護に初めて携わる人や24時間付きっきりの家族だと
少しづつ疲弊していくのも当然。

 

 

それならプロの介護士がいる施設や居宅サービスに依頼をしてみるなら、
うまく解決法を持っているのでは? と思われるでしょうけど、
介護職とはいえ、何でもできるほどの
解決法のストックははっきり言って無いものです。

ネットで「頻繁にトイレに通う⼈への対応」と検索しても
一辺倒な答えしか載ってないので
「ウチの親の場合はどうするのよ…!?」
とした疑問への回答に直接的には結びつかないかもしれませんよね。

そんな中での事例

■認知症がひどくて何度もトイレに行きたがる認知症 
〜何度もトイレに行きたがる方への対応一例

事例、Aさま。 アルツハイマー型認知症。

ADL的には指示が通れば、大概のことはできますが
都度「どうしたらいい」と言われます。

大腿骨骨折後、医師から歩行許可は出ましたが、
できるならフリーでは歩かせたくない、
つまり歩行から着座までは介入が必要、
条件に移乗も含めて考えても良いです。


この方がトイレに頻繁に行きたがります。
トイレを済ませてトイレから出た瞬間に
「漏れそう、漏れそう」
「早くトイレに行かせて」
と大声での訴えが続いてしまいます。

もっとひどい場合ではトイレを済ませて着衣の後に
「漏れそう、トイレに行く」
と訴えが始まってしまいます。


この方の訴え通りに毎回トイレに連れて行っていたら
周囲の人は他に何もできなくなってしまうほどです。


さて、どうしましょう。

実際、目の離せない方ほどトイレに行かれることが頻回になること、
ありますよね。

特に施設だとそんなことは本当にいつものことじゃんと
感じておられるはずですよね。

30分、できれば1時間くらいおきというなら
まだ施設や介護職員でも対応範囲内でしょうが、
あまりにも頻繁に「トイレ」という訴えの
スパンが短いとどうにも対処に困惑します。

独歩で問題ないならお一人でどうぞ、
となるが介入がなければ必ず転倒に起こると想定される。

 

■まず何を観察する?

まず、できることなら排尿時の観察を今一度細かく行なってみる。

 

 

排尿間隔、残尿感の有無、
尿の色(白濁、赤みがないか)…
このあたりを何日かまとめて医師に相談したいです。

意外と膀胱炎なんていうケースに繋がっていたりするかもしれません。

異常がないなら、それはそれでOKですよね。

心因性の排尿、頻尿なら必要以上の通院もさせることはないし
普段の生活の範疇でなんとかしてあげられそう。

そういった意味で医師、介護士、ケアマネそれからもちろん家族と
色々な人の意見を聞いて良い関係性作りが発展できたら、
症例の改善は厳しいとしても同じ仲間と同じ方向を向いていこうと
気概だけでも生まれたらそれはプラスなことです。

 

失禁の心配を恐れて「トイレ」「トイレ」と尿意がなかったり、
感じていなくてもトイレに行きたいと訴えることもあるのなら
尿漏れパッドも装着済み、濡れないようにしてあるから
(今、トイレに行かなくても)大丈夫、
と伝えたところでなかなか通じません。

 

 

トイレに行ったところで極々少量の排尿しなかったり、
出なかったりするのであるなら、飲水量を確認してみます。

失禁を恐れて飲水を控えていることはないか、
そのためにかえって膀胱が萎縮してしまっているかもしれません。
通常の飲水量の確保とともにしっかりまとまった量の排尿を促すためにも
ある程度の飲水接種を促してみます。
もっとも、飲みたがらないんですけどね。


このへんの話はできれば医師とも生活リズムを整える目的でも
根幹となるところを押さえておいて

飲水提供の時間や量などの目安になるような
指針を持っているとベターでしょうね。

良かれと思って飲ませたはいいが、
今度は判定に過剰摂取だ、
なんてことになってしまうとなんだかややこしい。


良かれと思った先での事故、
介護に携わる人なら一気に気持ちが折れてしまいますからね。

心因性頻尿、もちろんそういう考え方もできますので
時間の許す限り、歌や絵、ちょっとしたお手伝いなどなど、
提供してみました。


その時に出来たもの、興味を引いたもの、
思ってた以上に効果の出なかったものなど多種多様です。

認知症のためダメだと云ってしまうとそこで話は終わってしまいますが、
何か一つ、役目となれるものはと考えて


「じゃあ、一緒に掃除でもしましょう」


ということでまずは雑巾を握らせて、
一緒に連れて歩いてわずかながらの時間でしたけど
作業完了。


こんな感じでできること、
集中できることをこまめにというやり方が有効なのかもしれません。

それでも変化が見られない、
改善に繋がらないということもほとんどではないかと思われます。

そうなると、次のステージは介助側のスタンスをどう保っていくか、
ここが大事です。

■マインドセット、大丈夫ですか?

認知症対応の中にも現場では叱る、否定する、妨げる、
そんな言動に繋がって行くことが多いです。


その一瞬ごとのやりとりや会話は記憶に残っていないことも
多々あるかもしれませんが、
わたしたち自身が恥ずかしくない対応をしていないかどうかが求められてきます。


意外と自分の対応の仕方、見られているかもしれません。


間違っても責めるような対応をしているばかりか、
そういう場面を管理者や見学者、
来訪者に見られたら言うまでもなく一発でアウトです。

人の目が見ていなくても、神の目が見ています。
そんなふうにココロの歯止めが効かなくならないように努めてまいりましょう。

トイレの話ばかりでなく

 

 

 

トイレに限ったことではないのですが、
何かにこだわってしまうことは認知症の方の世界には
よくよくあったりすることです。

すぐに例に出せる話としては「家に帰る」みたいな発言ですよね。

不安や心配、普段と違うと本人が認識していることと
現実世界の違いに気づいた時だからこそ、
一所懸命何かをアピールしているのかもしれませんよね。
その表れが
「トイレに行く!」
「ウチに帰る!」
なんでしょう。

だからこそ、いわゆるマニュアルが通用しないことも
多々発生していまひとつうまい解決に結びつかないことにもなりがちです。

お一人個々に合わせた介入を、、
とやっていきたいんですけど、みんな思ってますよね。

■きれいごとではない話

認知症も重度になってくると、
このように同じ訴えを繰り返したりすることがあります。

さらに意向が通らないと大声、奇声、取り乱すなどなどあたり構わず、
周りの目も憚らずという場面にも必ず遭遇します。

もうその場その場で対応、説明していくしかない。
介護職員も内心いい加減に落ちついてくれを思いながらも、
言葉を選んで接しています。

そこで理解があっても、
すぐにそのことも忘れてしまうというループに入っていきます。

医師ならバルーンを入れたり、睡眠薬を使ったり、
拘束もできるでしょうけど、
介護系は現場そのものが多忙なのでそこまでお一人に関わってはいられない。

実際こうしたケースで介護度が仮に2だとしても、
実質ほぼ24時間マンつー対応なんてこともあるので、
現場としても予定時間に対応仕切れなくなる。

一概にレクとか散歩とか気が紛れることやってるの?
なんてその場に携わっていない人がその場しのぎのことを言ったり、
現場がなってないとかいうのはちょっと違います。

日常的な会話もできなくなってきている上に
介入時間も介入手順も増えて現場が回らない、
それでもイライラせずに目の前のことだけだからと
笑って対応できる余裕を失わないことです。

そもそもレクで問題が解決できるなら
施設型の介護職員は何か一つか二つくらい、特技を持ってから入職、
そうならないと高齢者介護
の問題はレクでは片付かない。


やりたくてやっている仕事なら文句なくやれよ、
という人もたまにいますがそのスタンスが無責任です。
なぜなら自分のことでないから自分には関係がないという
意思表示しかないためです。

■整える

一度立ち止まって今までの自分を認める、
褒める、今まで光を与えてくれた人に対しての感謝の念を送る。

誤解を招く、大切な人を傷つけるとはどういうことか。
わたしたちが本来持っている気持ちの中に素直な一貫性を持つこと。

そこが「人の役に立ちたい」ということであればそのことを忘れない。

困難の先に喜びを持っている。


世間や会社、現場の評価に気を取られず、
自分が情熱を注げるものを忘れないでいこう。

限られた環境の中にも自由と愛は必ずある、その喜びに目を向けていくこと。

調和のエネルギーを拡大してください。

認知症 何度もトイレに行きたがる方への対応一例、
そんな認知症対応であっていきたいものです。

結局、精神論かと! 

まあ、そうなんだけどね。綺麗ごとと正義を貫きましょう。

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ご感想や気づき、発見がありましたらこちらまでメッセージをください。
個別には対応できないことが多いですが必ず目を通しており、
今後の発信に活かしてまいります。

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