【ユマ二チュード 関係性を深める介護技術を学ぼう】

 長谷川式スケールでは点数がつかず、ADLはほぼ全介助に近い。

わずかに自力で食事が取れるが最後は介入という介護度は4。

家族や以前利用していた施設からの情報では

「トイレに行こうと連れていくのですが、踏ん張っちゃって何にもできないんですよ。
結局漏らして、着替えをするにもチカラを込めてどうにもならないんです。」

というお悩みでした。

 

 

実際に目の当たりにすると、なるほど、こういう症例かと。

踏ん張るなんて優しい言葉じゃないですよ。

全身にチカラを込めてブルブル震えるくらい、車椅子から立たせるにしても二人がかり。

そのうち手を出てくるので介助側はユニフォームがちぎれたり、腕にアザが残ったり。

このようなケースを以前、認知症ケアの講習会でどうしたらいいかと質問したら、

「おそらくは失認。自分の手足も何もかもわからなくなっている状態。
いくら立ちましょう、座りましょう、と伝えたところで中々理解はしてくれないかもしれません。
根気よくいろんなことにチャレンジするしかないですよね」

と言われたことがありました。

ユマ二チュード、単に認知症対応の技法だけではない。

ボディメカニクスを有効に活用していこうという方法もある。

強制ケア、こんな言葉を聞くと

「そんなのダメに決まっているでしょ!」

という方がほとんどだということは間違いないと思うのですが、
こんなやり方や介助はやってはならないよ〜とフランスで提唱されている普遍的なテーマのひとつに
チカラを使うという意味での「強制ケア」、代表的なものが「脇を持ち上げる」こと「こじ開ける」ことがあるという。

ドキッとしませんでした? 

先にあげた方に対してわたしたちは常日頃N Gな介護方法を行っていたのです。

普段、ユマ二チュードを勉強しろよ、なんて言っておきながらわたしたち自身も
ご利用者様へ負担を与えているケアを続けていたなんて!

強制ケアには(資料抜粋)

「権利の侵害や行動心理状態を悪化させるだけでなく、本人の能力を奪う危険がある」、

わたしたちの判断や行動が身体機能の低下を引き起こしてしまうだなんて。

加えてケアがチカラを入れるケアをしてしまうことは「拘束」ともなり「害を与える」ことにもなる。

ご利用様からの視点の中ではトイレに行く、
行かされるということは念頭になく自分がどうされるのかわからないという気持ちの方が強かったのですね。

考えるまでもない。

車椅子使用のご利用者様の座位が崩れている、そんないつもの光景の中、わたしたちは

「こうすればいいんですよ」

と脇から手を入れ腕を入れ、まさにこじ開けて引き上げる。

トイレでも入浴でも、ベッドに移っていただく時でも腕を足を開き移動する。

実はこのような手順は「害」なのだ。

わたしたちはきちんと学び、伝えなければならないですね。

介助側が持ち上げよう、移動させようと言う意識が相手に伝わらないままでは、
相手がこわばり、反対に全身いチカラを入れて踏ん張ったり、そんなことも無理はない。

加齢や病気、拘縮によってご利用者様の体は脆くなっている。

ここまで拘縮しているんだから、こうしてこじ開けてやらないと何もできないじゃないですか!

という声も聞こえてきそうです。

介助側に悪気はないし理想ばかりを言うんじゃないよ、と言われてきそうです。

では、そんなケースではどんな介助法があるのですか?

そこで学んできたユマ二チュードの技法、

「見て、話して、触れる」こと。

どれだけ先に安心感を相手に伝えられるか、
そんな意識を持って接していけたらその人に向けたより良い介助法が見つかるかもしれません。

うん、確かにそうだ。

とはいえ、なんとかなるという改善策は何も提示できなかったのが実情です。

いくらご利用者様のためとはいえ、なんとか頑張ってはみているものの、
やはり病気やいろんな原因で相手の体がどうにもならないほどに動かなくなってしまったら
多少なりともチカラを込めてしまうことがあることもわかります。

そんなときこそ、相手の目を見て繰り返し分かってあげているよーと伝えていくことですですよね。

言葉で理解されなくても、どこかで感情で理解してくれたら何か見えてくるのかもしれません。

 

 

 

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