【認知症ケア 選ぶ言葉でその人が分かる】

 
 介護度は2レベル、
長谷川式スケールでは点数がつかないほどのアルツハイマー型の方。

 

日常会話も成立させれらないほど短期記憶は保てない、
そんな方と日々向き合っているわたしたちであります。
 

 どれだけわたしたちが介入の仕方だのユマニチュードなどを学習してきたことを踏まえても、
現場ではその方に何も伝えることが出来ないなと毎日不甲斐なさを思い知らされますね。

 
 
 
 今回は上記条件に加えて年齢も90才を超えている介護度2のQ様として例にします。

 
 
 90才超えであるもスタスタ歩けるADLを保ち介護度2をキープできていることでも
立派なのだけれども、
家族としては言動に振り回されたり、
深夜の起き出しなどの行動があるので共同生活は困難ということで施設利用となった方。

 
 
 
 例によって同じ話しの繰り返し、こちらも返答をしたところから同じ質問を何度も被せてくる、
そんな状況は認知症ケアの現場でならいつも目の当たりするもの。
 

 
 何かにつけて手近にある目につく物を取り上げては

 
「ワイフにこれを届けないといけないんだよ」

 
 
と頻繁に訴えが続いています。
 
 
 
 
 職員は各自が都度説明に入っていくのでありますが、
それを快く思わない他の御利用者様が同じ場にいるというところが、今ある課題のひとつ。

 
 記憶を保持できないために状況が理解出来なかったり、
忘れてしまったり、
間違ったことを言ったりしようものなら、
もう呆れるほどにひどい言葉遣いで罵倒し怒鳴りつけてしまう同じご利用者さまがいる。
 

 
 その方にあなたは見ているだけでいいですよ、
相手の気持ちも分かってあげて下さいねと伝えるけれどもそのことを受け入れられないのですよね。
 
 
 「だって間違っていること言っているのだからしょうがないじゃないよ!」

 
 これがその人の考え方。
 
 

 
 Q様が何か言う、

そこにまた「◯◯◯!!」と被せて怒鳴り付けまた職員が取りなす、

 

これの繰り返し。
 

 
 席替えをしたりと出来る事はしているものの、
やはり声や周囲のやり取りが聞こえるとあえてまた騒ぎを大きくしてしまうのだから周囲としては

「お互いに黙っていればいいじゃない」

という目線になってしまいます。

 

 
 当人を責めるだけならまだしもその方の家族や奥様までを侮辱する言葉を出してしまうので、
さすがにそこまでくると報告レベルかなとも感じました。
 
 普段は穏やかな方なように見えてもそうした瞬間に素が出てしまう。

 
 
 言葉の選び方、使い方でその人が見えてくる。

 
 
ある意味こちらもマイナス感情を浴びせられた感があります。

 
 
だからモノの見方を変えて学びに変換して、負の感情はさっさと手放すに限ります。

 
 
 
 
 「ワイフに」という意向はよく聞かれるワードの一つなのですけれども実はすでに故人。
 
 
 それを知るとアルツとかいくら物忘れがあるといっても
最愛の人のことは覚えているわけですよね。


 
 
 
 
 「ワイフ、ワイフ」と重ねてどこにいる?
と訊ねられることも多いのでこちらも
 
 
「ワイフなんて80年代的な言い方ですね」

 
 
 
と冗談を振ってみたもののそこは理解は出来なかったので、
次には「奥さん思いなんですね」と返してみました。
 
 
 そこからちょっと古い話しを引き出して昔話のひとつにでも繋げてみようとしたのですけれども、
残念なことにこちらの側の誘導には繋がりませんでした。
 
 
 でも「奥さん思い」という一言にその方も一度頷いて場も一時しんと静かになりました。
 

 
 介助の声かけというのは何も制止や抑制、
こちらの都合に気持ちを向けるものでなく相手に届けてこそということに改めて気がつきます。

 
 
 そうした言葉の選び方、届け方を日々実践していくことが認知症ケアだったり、
BPSDの対応の仕方の一つになるのですよね。
 
 

 
 
 ですけれどもひとつ告白します。
 
 
 こんなキレイごとを言っているわたしも咄嗟に「!」と声を荒げてしまう瞬間があります。

 
 
 それはご利用者様が弄便をしそうになるときです。

 
 
 お願いだから、それは触らないで!ホントに止めて!と言っています。
 
 
 その手でその辺を二次汚染するのでも大変ですけれども、
爪の間まで入り込んで顔だの髪だの触られたらもう泣きそうです。
 

 
 
 今日もファイトです。

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